クーリングオフの効果
支払ったお金は全額返金される
契約は過去に遡って無かった事に,事業者は消費者に損害賠償請求できない上に,原状回復義務を負う。
事業者は,既に受け取っている金額を全額返還しなければならない。消費者が,商品もしくは何らかの権利を受け取っている,又はサービスを受けてしまった場合であっても,事業者の負担によってその商品を引き取り,権利を返還する事になる。
消費者は受けたサービスの代金を支払う必要もない。
消費者は,損害賠償や違約金を支払う必要はなく,すでに頭金等の代金を支払っている場合には,速やかににその金額を返してもらえる。 土地または建物,屋根に取り付けた設備,そのほかの工作物等の現在の状況が,契約した事により変更され,付加され,設備が増設されている場合,事業者は,無償で契約以前の状態(原状)に戻さなければならない。(回復させなければならない。)(たとえば,太陽光発電システム等の太陽光パネルも配線も全て取り外さなければならない。)
ただし,例外がある。
当然,特定商取引法で制度の適用範囲から除外されている公的な商品の売買やサービスの利用ではもちろんだが,この制度が適用される商品や取引又はサービスであっても,使うと商品価値がほとんどなくなるような消耗品(健康食品,化粧品等)を,使いきってしまった場合や,現金取引の場合であって代金または対価の総額が3000円未満の場合には,クーリングオフの規定が原則として適用されない。(例外として,将来に渡って何らかの支払い義務が生じる契約内容であれば,クーリングオフをすることでその将来の支払い義務は無くなる。)
突然,事業者が家に訪問,貴金属を消費者から買って行った?
貴金属等の消費者からのいわゆる「押し買い」の被害は,平成23年に4,142件と2年前の32倍となった背景から,平成24年の法改正により,訪問されて業者に購入されてしまった場合,原則全ての物を,取り返すことを可能にする法令に改正された。
これまでは,消費者が事業者から何らかの商品やサービスを購入した場合に適合されたクーリングオフ制度だが,上記理由から,消費者が売主に,事業者が購入者として成立した売買契約にもその適合範囲を拡大。
これにより,例えば,安価でついつい売ってしまった貴金属等の品物を,事業者から取り返す事が可能になった。
訪問購入に係る売買契約の申し込みや締結が行われた場合であっても,法定書面を受領した日から起算して8日以内であれば,当該売主たる消費者(申込者等)は書面により申込みの撤回や契約の解除ができる。
クーリングオフは,売主たる消費者が購入業者に対し書面を発した時に効力が生じる。
売主たる消費者は,転売等により購入業者から物品の引渡しを受けた第三者に対しても,クーリングオフによる契約の解除をもって当該物品の所有権を主張できる。
例外として,
引渡しを受けた物品がクーリングオフの対象になり得ること,又はすでに元々の持ち主がクーリングオフを行っていることについて第三者が善意・無過失である場合は除かれる。
売主たる消費者がクーリングオフをした場合,購入業者は損害賠償又は違約金を請求することができない。
売主たる消費者がクーリングオフをした場合で,売主たる消費者がその契約に係る代金の支払を既に受けているときも,その代金の返還に要する費用や利息は,購入業者の負担となり,購入業者と消費者との間で結ばれた特約であっても,上記事項に反して売主たる消費者に不利なものは無効となる。