クーリングオフとは,クーリングオフやり方

クーリングオフの趣旨

消費者の安全と保護の為

平成20,24年,特定商取引法(クーリングオフ制度)大改正

 

原則として,事業者が消費者とした殆ど全ての取引が対象に。 事業者には,本制度に反する行為に対し,厳罰規定を明文化した。

職業選択の自由,契約及び商行為の自由

1 一般論として,どんな仕事をしてご飯を食べるのか,職業選択の自由(憲法上,いかなる職に就くか,経営するかは,その者の自由)の大原則が存在する。
 民法や会社法(商法)の範囲で行政に縛られることなく,自由に営業活動を展開し,マーケティングをして市場を開拓。 見込みとなるお客さまにメリットを説得して契約,納品そして請求といった商行為を継続して行う。原則として,商行為に何らの違法性を帯びるものではない。 

消費者は,自由に生活しているだけ 

2 他方,消費者は,専門的な知識がないばかりか,そもそも違法行為に遭わないように気をつけようという防護を通常していない。 目的や夢といったものが満たされる商品・サービスに対し契約行為をするのが一般的だ。
 そして,その商品サービスには,専門的知識において,事業者に勝る場合は少ない。

国は,契約締結後の消費者に。冷静に(cooling off)考える時間を消費者に与えた 

3 契約したあの日の行動を振り返り,判断を省みて,そして契約を無かった事にできないものか,,と冷静に判断する時間(英語で,Cooling Off とは,「熱くなった感情を冷ます」という事)を与えた。 これに法的保証を付加し,事業者への強制法規としたから,問答無用で契約以前の状態戻すことが可能になった。

原則として,行政は関わりたくない

4 原則として,民法という法律には,上述のように契約の自由という原則が存在する。どのような条件で個人又は事業者が契約しようと,それは契約した当事者の自由であって,国は関与したくない。 原則は,商売は自由にやってくれ,いちいち裁判所にこないでくれ,どうしても争訟性が生じたら,条文・判例に基づいて判定しますけど,,というのが原則的なスタンスであると考えているであろう。

法の死角が極限的に減少

5 そこで,昭和51年から制定されていた訪問販売法は,平成12年から特定商取引法として特に問題が多発する商品・役務(サービス)を法令で指定して規制。 これが原因で,事業者はこの死角を突くかのような業務形態,商品,サービスにより法の規制から潜り抜けた商品・サービスを展開し,法令との「いたちごっこ」を繰り返した。 
 やがて,平成20年の改正では,原則,全ての商品・役務(サービス)をこの法律の規制対象にした上で,逆に対象外の商品やサービスを指定しました。 
 平成24年には「訪問購入」いわゆる金・銀・プラチナ等の貴金属の押し買い等にも規制対象として改正された。
 これにより,突然訪問されて売ってしまったそれらの貴金属の他,その訪問によって消費者が売ってしまった品物をクーリングオフの対象とし,上述とは逆に消費者が事業者に購入された物を取り返すことができるようになった。
 そもそも昭和51年の訪問販売法に関する法律の制定時から,規制対象の商品・役務が特定されていること自体が問題だった。 約32年間,問題のあった法律だったことは否めない。

民法,会社法に優先する,事業者側だけへの強行規定

6 大原則である契約の自由を,抜本的に行政が規制する最も大きな目的は,上述のように消費生活の取引上,絶対的に情報力に欠ける我々消費者の利益の保護にあり,いかなる理由,事由又は不手際や過失が消費者側にあっても,事業者から,法律が指定している「法定書面」を消費者が受領した日を1日目とし,それから8日間以内であれば,問答無用で解約できるとし,解約以前の,事業者と消費者との間の状態に戻さなければならない費用的・物理的・稼働的な一切の責任を,事業者側に負担させることにした。

消費者の意思次第で解約できる

7 そうすると,契約当事者の一方である消費者が,ご自身の意思を文書等により明示し,解約するのだという意思を表示したことを立証できる程度にこれを行えば,相手方である事業者の同意若しくは反論といった一切の意思に関わらず,上述の解約が達成され,契約以前の原状回復義務を事業者に全て負わせる事が可能であるということだ。 
契約以前の状態,つまり何らかの装置が設置されていれば,それらが設置される以前の状態に(例えば,太陽光発電システムや浄水器若しくはエコキュート,又は手付を預けた投資マンションの契約等・・),又は何らかの商品を購入していれば,それらを取引の相手方事業者が交通費若しくは送料の実費を負担して引き取らなければならない。 これらの義務に加えて,事業者が消費者から既に受領している金銭,消費者が既に支払った金額全額を当該消費者に返還し,将来の未払い分請求権及び損害賠償請求権も,いかなる理由に関わらず問答無用で無かった事になる。
 請求することができなくなるという事業者側への強行規定になる。