業務紹介仕事紹介物品販売業(業務提供誘引販売業)
モニター解約,モニター商法解約等は,契約してから20日間以内ならクーリングオフできる
毎月45万円の安定業務,簡単操作であなたも安定・・でも仕事がこない?
履歴書を送って届いた頃に,面接の連絡があった。行ってみると,業務を受託する為にあれこれ仕事に必要な商品を買う必要があるという。 買うべきか?
この登録料の中に,来週若しくは来月からのその「業務提供誘引販売取引業者」が紹介する業務に必要なディバイスや電磁的装置又はプログラムが入ったCD-ROMと称する商品も含まれる,又は登録料が5万円で,別途購入する商品の高度性,高精密性に比例して毎月の収入(こちらが紹介するお仕事)も増額されるとし,様々な条件提示をする手法だ。
要は,高い商品を買えば,それに比例した報酬を得られる仕事を紹介するというのだが,,
業務を受託してくれる方を募集する行為自体に違法性は問えないが,
原則として,当該事業の性質上理由が無いのに,年齢制限や性別を限定する場合を除き,
- 業務委託をしたいから受託してくれる方を募集すること自体に違法性を問うことはできない。
- 原則,どのような形態(委任,委託,嘱託等)で雇用するのかは,当事者同士の同意に基づくものである。
そこで,
「業務遂行の為には,これらのハード装置,ソフト等プログラムが必要になるから,仕事をしたいのなら買って下さい」とされ,これを購入した場合は,その部分売買契約は,原則として条件付売買契約と看做される。
契約の形態,商品購入の理由(条件)は何だったか?
契約の形態には,雇用,委任,委託,嘱託,派遣社員等の形態があり,面接後の協議の結果,
「業務委託」になったとすれば,
その契約に基づく特定の期間について,雇用者は,受託者(応募者)に対し,
①業務を与える債務,委託費用(労務の対価)を支払う債務が発生し,
②受託者は,業務を計画通り遂行する義務が生じます。
債権ということで考えれば,雇用者は,受託者に対し,
③委託した業務が完成するよう請求でき,
受託者は,
④完成の進行状況,計画に従い,契約した条件で委託費用を請求できる。
契約が「雇用」というこになれば,募集した雇用事業者は,
①労働者を労働保険(労災保険,社会保険)に加入させる義務,
②業務を与え(業務シフトを与える)義務,
③労務に対する契約上の給料を支払うという義務,
④有給休暇,時間外休日手当を支払う義務を負い,
事業計画達成の目的で,労働者に指揮命令をするということが挙げられる。
労働者(応募者)は,
①就業規則に準じて勤務して
②雇用者の指揮命令に従う義務を負い,
債権・権利という観点で考えれば,
③労務の対価を給料として請求し,
④半年以上規定日数以上を勤務したら10日間の有給休暇を請求でき,
⑤週40時間以上勤務したら時間外手当,休日に勤務したら休日手当として通常の時給の1.25倍を請求するできるという雇用契約関係になる。
労働基準法の大原則として,「労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」とある。
それだけ雇用契約関係にあれば,労働者の権利は,労働義務を果たしている限り(就業規則等に違反していない限り)保護されているのが原則だ。
雇用者が給料や有給休暇を与えない場合には,法で厳罰を科すと規定されているのがその理由でもある。
雇用契約であれば今後の勤務は困難になる可能性は否めないが,上述の権利を請求できることは念頭にいれておこう。
委託契約の場合で考えてみれば。
当該事業者と一定の業務について委託契約をし,仕事に必要であるとする物を購入しても仕事を与えられない場合に,受託者は当該募集していた事業者に対し,
①業務を与えてください という債務不履行に基づく履行請求ができ,
業務等そもそも存在しないのであれば,
②履行不能に基づき契約を解除するので損害賠償請求する,と主張でき
③支払った金額の性質は,当該事業者が,どの時点で業務を与えられなくなったのかという問題はあるものの,原則として,そもそも業務は無かったと言える法的根拠があれば,その金額について当該業者は法律の原因なくして受領した金額なのだから,応募者は不法利得返還請求できることになり得る。
本売買契約における売買契約書の書面の条項を確認しよう
①何某の業務の為に,
②月45万円の受託業務報酬を受ける為に
③この商品を販売し,購入する。
このような条項が明示されていれば,条件付売買契約であるから,後に仕事が与えられない場合,又はそもそも業務自体が無い場合,これを知らされていれば当初から業務委託契約も売買契約もしていなかったはずでもある。
当該事業者の「業務受託者募集」の宣伝広告の誇大性・虚偽の有無の確認をし,被害の悪質性,規模,契約締結時の事業者の経営財務状況によっては,民事だけでは済まない違法性を帯びるケースに発展する場合もありうる。
○○○新作若しくは新商品モニターで毎月50万円?
1時間のモニター体験で5,000円くれる,という。 体験後,100万円の当該商品を半ば無理やり買う契約をしてしまった。 このまま支払うべきか?
「モニター」という文句には,私達はテレビやラジオで「番組モニター募集」といった言葉に慣れ親しんでいるのかもしれない。(納得しやすい程度に抵抗のない言葉なのかも)
何気なく目につく「モニター募集」とする広告は,それほど抵抗のない概念と言え,当初から警戒心を持たずに内容を理解しようとするのかもしれません。 これに報酬が高額になれば,楽に稼げると思い込んでしまいます。
エステの商品であったり,新商品の健康食品であったり,パソコンであったり,かような商品の使用した感想や効果を,使用する前と比較してどうなったか,性能はどうだったかというレポートを,一定期間に一度,何か月間,何年間は報告し,その対価として毎月一定金額を支払う,と契約するのは双方の自由だ。
ところが,宣伝の内容にあるような業務等が存在しないのに,あたかも毎月45万円の安定した収入が確実に得られるような錯誤に陥らせ,当該事業者がそれを知って当初から,ただ単に商品を売りつける目的で販売し,応募者から一定の財産を受領した場合,事業者には,民事だけでは済まなくなる違法性を帯びる可能性が存在する。
もらわなくてもいい時給がある。
わびさび,リスク,冷静に考える時間を持とう。
また,モニターの体験時間で募集していて,その時給に気を惹かれたとしよう。
一日原則8時間,週40時間,一か月で160時間程度の労働時間で,時折残業があるとしても,時給1,000円前後であれば月20万円前後の給料が妥当な対価であるのが平均的であるし,時給3,000円とか5,000円とかという金額であれば,その業務の内容,期待される労務の性質などは,一般的な事務作業ではないという事を前提に綿密に確認するべきででもあろう。
体験した時間が1時間として,当該1時間で5,000円が支払われますというキャッチ文句であっても,体験後に100万円の商品を購入してローンを組んでいたなら,最初から,「100万円の○○○を買いませんか?」と言われていれば,ついていかなかったし,契約していなかったのではないか。
労働力を提供することによって,高額の対価を得る為には,失うもの,犠牲にすること,その他精神的な覚悟や忍耐はつきものですが,それらのリスクを承知している場合は別として,楽をして稼げる,という広告には何等かの意図があると察し,この情報が雑誌広告,ネット又は路上や公共の場であったとしても,5分でいいので正当性の確保の為に,一度検索して情報を得るとか,友人知人若しくは家族の意見を聞く等して冷静に判断する時間を持つことも重要だ。 また,当職のような専門家,街の法律家に気軽に,無料相談をしてみるのも一つの解決手法だ。