海外にホストサーバー(事業者)のあるアダルトサイトからの請求について

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Q:アダルトサイトの請求画面が出てきたがどうすればいいか?

 
請求画面若しくは請求メール等に相当の心当たりがあり,事業者側の請求行為に法的理由があれば支払い義務は生じる。そうでなければ,①クリックしない。②承諾しない。③返信しない。つまり何もしない。④PCのタスクマネージャーを起動し,アプリケーションを(強制)終了させる。又は,電源オフして再起動等,PC操作により請求画面が消滅する場合がある。
※当職の免責事項:上記のご判断,PC操作のご判断,操作方法はマニュアルを確認するなどしてご自身の責任でお願いします。操作方法についてアドバイスが必要な方は,無料相談から状況をお知らせください。

事業者の本店が海外に所在している場合

当該サービスを提供しているサーバー(事業者)が海外に所在していても日本に所在していても,日本に居住している消費者は法令により一定の保護はされる。

適用される法令は,日本か?海外か?アダルトサイト以外の消費契約でも以下が適用される。

リンクを何度もクリックして,飛んだ先のHPのサーバーが,日本なのか国内なのか,そこまで確認できていなかった場合でも,申込をした画面をWho is によってドメイン(@マーク以下の〇〇〇.co.jpや〇〇〇.comのこと)又は,IPアドレス(192.〇〇〇.〇.1)等を検索する事で,そのサーバーがどこにあるのか,だれが管理しているのか,およその見当が付けられる。
 そのサーバーの経営会社の情報が表示される場合あるが,原則として,当該URLを管理している本人(法人・個人)の情報が開示されなければならないルールが世界標準になっている。
 どうやら,日本国内ではない場合,これまでも消費者は一定の保護がなされていたところ,民事訴訟法の改正により,これがより明確になっているので考察してみよう。 
 相手方事業者がアダルトサイトに関わらず,一般論として考慮できるポイントがある。

 

1 法令の適用が日本国の法令かどうか,国際裁判管轄について考えてみると
,。

 

(1)第一審の裁判所をそのサーバー設置場所の海外で,として契約していても,消費者が日本でまければ嫌だと意思表示(又は無視)すれば日本になる?

 
 第一審の裁判所を海外の事業者の所在地を管轄する裁判所として合意して当該契約をしていても,消費者が日本でやると決めれば日本になるのだろうか?
 
 この点,2012年の改正民事訴訟法では,消費者契約に関する紛争において,仮に契約書等に,「・・・・紛争が生じた場合には,外国の事業者の所在地を管轄する裁判所を合意管轄裁判所とする」との文言があっても,消費者がこれを援用して外国の裁判所を管轄としない限り(海外から訴状が送られてきても同意して返信しない限り)日本の消費者が常居住する地を管轄する裁判所をもって国際裁判管轄とする旨明文化しました。
 
 この新民事訴訟法の改正により,海外に所在する事業者と日本にいて消費契約をした消費者を保護する趣旨から,海外で訴えられ海外の裁判所による判決が確定しても,その確定判決に基づいて日本での執行判決を取るには,国際裁判管轄が海外の裁判所であったとことの効力が有効だった場合に限定された。
 (つまり,ほっておいても,日本の財産・給料・売上等が差し押さえされないということ。)
 

(2)新民事訴訟法と,民事執行法との関係

 
 そこで,消費者が海外にある事業者と消費契約をした時に合意した国際裁判管轄が有効になる場合を民事訴訟法から見てみれば,
新民事訴訟法には,

a 消費者と事業者との間の消費者契約に関する民事上の紛争について日本の裁判所の国際裁判管轄を認める合意が効力を有するとき。
(契約時に消費者の居住する日本の裁判所を管轄裁判所として合意して,これが有効なとき。)
 
b 消費者が国際裁判管轄の合意に基づき合意された国の裁判所に訴えを提起したとき
(日本にいる消費者側から外国の裁判所に提訴し,当該訴訟が係属された時)
 
c 事業者が訴えを提起した場合,消費者が国際裁判管轄の合意を援用し応訴した時
(外国の裁判所で訴えられて,これに「(消費者が)応じて」外国の裁判所で係属された時)

 
とあり,契約書で当時管轄裁判所について合意があったとしても,(例えば契約書若しくはパソコンに表示された規約に,第70条 「・・・紛争が生じた場合における第一審の専属的合意管轄裁判所はアメリカ合衆国○○○州△裁判所とする・・・」との条項があってこれに合意していたとしても,その効力は上記1から3のいずれかに該当しなければ,日本の裁判所は,当該消費契約にかかる紛争の国際裁判管轄は日本にあると認定することになり得る。(新民事訴訟法第3条の7)
 
 契約当時,民事紛争に発展することを予測せず,交渉力にも資金力にも劣る国際間の消費活動では,消極的な消費者を保護しようという趣旨だ。
 
 ただし,この保護規定に該当しない消費者もいる。 積極的な消費者と呼ばれる者で,自ら海外に出向いて能動的に活動をした消費者は除外される。  自ら海外に出向き,購入動機を自らの意思で実現した消費者を法令で保護する理由もないし,購入した地の法律が適用されて然るべきであるからだ。
 
 つまり,そのサーバーを運営する個人や会社の本社が海外に所在して,日本に所在していなくても,その営業が日本国内を対象として事業展開している事実があれば,日本国では消費者と海外にある事業者が契約書において合意管轄を海外の事業者の所在地を管轄する裁判所として合意していたとしても,これを消費者が紛争後に援用しなければ,国際裁判管轄は日本とするとして明文化している。
 
 これが後の紛争の進行に大きな影響をもたらすことになり得る。
 
 消費者に注目すべきは,民事執行法第24条第3項にあり,
 
民事執行法

第二十四条  外国裁判所の判決についての執行判決を求める訴えは,債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が管轄し,この普通裁判籍がないときは,請求の目的又は差し押さえることができる債務者の財産の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
2  執行判決は,裁判の当否を調査しないでしなければならない。
3  第一項の訴えは,外国裁判所の判決が,確定したことが証明されないとき,又は民事訴訟法第百十八条 各号に掲げる要件を具備しないときは,却下しなければならない。
4  執行判決においては,外国裁判所の判決による強制執行を許す旨を宣言しなければならない。

 
 この第3項には ,外国裁判所の判決が確定したことが証明されないとき,又は民事訴訟法第百十八条 各号に掲げる要件を具備しないときは,却下しなければならない。
とある。 そこで,この民事訴訟法第百十八条 各号を確認してみれば,
 
民事訴訟法

第百十八条  外国裁判所の確定判決は,次に掲げる要件のすべてを具備する場合に限り,その効力を有する。
一  法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること。
二  敗訴の被告が訴訟の開始に必要な呼出し若しくは命令の送達(公示送達その他これに類する送達を除く。)を受けたこと又はこれを受けなかったが応訴したこと。
三  判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないこと。
四  相互の保証があること

 
 この第一項には,法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること。
 
とある。
 

(3)財産が日本にあるか海外にもあるのか確認

 
 国際裁判管轄について消費契約時において合意があっても,上述のように消費者が当該外国の裁判所を合意管轄裁判所として援用して応訴た場合を除き,当事者間の衡平を害し,又は適正かつ迅速な審理の実現を妨げることとなる特別の事情がなければ,原則として消費者の常居住地を管轄する裁判所とすると明文化しています。(管轄する裁判所の原則は,債務者側(請求される側)を管轄する裁判所とされている。)
 
 したがって,事案により消費者の常居住地を国際裁判管轄とするのが相当と認定される場合には,外国裁判所の確定判決に基づく日本での(消費者の責任財産の強制)執行判決が取れない,という事になる。
 
 もっとも,その外国に消費者の差し押さえの対象となる責任財産があって,この所在を知られていれば,せっかくの改正も有意的ではない。
 

2 消費者から,日本の裁判所に債務不存在確認訴訟を申し立てる場合

 
 この点,改正法では訴訟競合については明文化を避けているが,外国で訴えられた事を知って,消費者が当該請求されている金額についての債務がそもそも存在しないと主張する債務不存在確認訴訟を日本で提起するといった場合も考えられる。
 この場合,事業者は外国で裁判所の管轄も争ってくるはずである。
 日本の裁判所では,この外国で既に係属した裁判での判決により,日本で執行判決が取れる程度の効力を有するかどうか,当該確定判決が日本で承認されることが予想されるときには,日本の裁判所の国際裁判管轄を否定することが考えられる。
 
 各事案における具体的な事情を総合的に比較衡量して,そもそも当該契約時の準拠法(通則法7条「法律行為の成立及び効力は,当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法による」。)をどちらの地の法とすると合意していたのか,消費者は国際裁判管轄の合意を援用するのかしないのか,日本の方が外国よりも法廷地として適切であると認められるときにはこれを受理するであろう。
 
 消費者による債務不存在確認の利益の有無は,国際裁判管轄が日本であるとされれば利益が有るとされ,日本であるとされなければ無いとされて債務不存在確認訴訟の申立そのものは却下されることになると予想る。
 
 もっとも,事業者と消費者との間の消費契約にかかる契約に基づく紛争では,消費者は上述のように保護されるから,外国の裁判所による確定判決をもって日本にある財産が差し押さえられる事は,一定の条件を満たしている限り,原則としてあり得ない。
 債務不存在確認の申立が受理される程度であれば心配する必要がないということになり得るであろう。
 

3 債務が海外で有効に認められても,日本の財産は差押え困難?

 
 本件では,外国にサーバーを置く事業者が,日本に居住する者の消費者向けにサービスの配信を営業していたのですから,消費者が当該外国に国際裁判管轄があるとして援用しなければ,事業者は,消費者の未払いを現実のものにしたい時に,消費者の常居住地を管轄する裁判所に提訴して確定判決を得なければ強制執行ができないことになり得る。
 
 よって,日本にいる消費者がした海外に所在する事業者とした契約の場合で,日本にいる消費者が消極的な消費者とされ,国際裁判管轄は日本の消費者のいる住所地若しくは常居所を管轄する裁判所が相当と解される場合において,海外からの請求行為に対し,消費者が支払わないことについて法的根拠の有無を問わず,海外で訴えられて判決が不利に確定したとしても,その海外の管轄裁判所についての合意を援用して応訴していない限り,日本の責任財産が強制的に差し押さえされる可能性が少ないと言えよう。
 
 当該海外の事業者の支店,拠点,関連管理会社等が日本に所在していれば,関連行政法の営業開始の届出等の有無も,紛争が生じた場合の当該営業行為の正当性の有無を判断できる根拠の一つになるでしょう。
 
 強制執行される可能性がないから支払わなくていいという理由ではなく,支払い義務が無いと主張できる法的根拠がある場合に,海外の事業者と消費者との間において,この国際裁判管轄の問題が生じたとしても,消費者が当該海外に所在する事業者に渡航して売買契約等を締結でもしていない場合,日本にいながらネットで注文・申込・契約締結をした消費者は,原則として,保護されるのだ,と認識しておこう。