Q:アダルトサイトの請求画面が出てきたがどうすればいいか?

 
請求画面若しくは請求メール等に相当の心当たりがあり,事業者側の請求行為に法的理由があれば支払い義務は生じる。そうでなければ,①クリックしない。②承諾しない。③返信しない。つまり何もしない。④PCのタスクマネージャーを起動し,アプリケーションを(強制)終了させる。又は,電源オフして再起動等,PC操作により請求画面が消滅する場合がある。
※当職の免責事項:上記のご判断,PC操作のご判断,操作方法はマニュアルを確認するなどしてご自身の責任でお願いします。操作方法についてアドバイスが必要な方は,無料相談から状況をお知らせください。

アダルトサイトの当該事業者が日本国内の場合

正当な請求には支払義務があるが,

突然の料金支払い請求。 冷静に,法定根拠や相手方事業者の所在を確認しよう。 

 突然の電話やメールで270,000円を支払えとの請求・・。 あなたは,「●月○日に@@@@のサイトで動画をご覧になりありがとうございました」,「△@@@さんとメールをして頂きまして・・・」,「◇◇の情報をダウンロードして頂き,ありがとうございます。」,,メール閲覧,送信料,情報掲載料で合計27万円?
身に覚えはある。  当該請求されている金額を支払う必要があるのか?自分の記憶が曖昧だ。思えば確かにクリックはした。料金もどこかに書いてあったような気がする。
この請求に,どう対処すればよいのだろう?
支払わないでいれば,あんなホームページの情報を見ていたことが家族や職場に知られ,裁判になったり,給料が差し押さえられたりするのだろうか・・。

 

1 行政上の営業許可を取得しているか。

 
(1) 一般的には,どんな営業届や許可が必要か?
 
 相手方の所在が,ドメインサーチなどにより日本国内に所在していることが明らかで,関連する行政上の営業届出※1をしている個人若しくは法人であり,かつインターネット申込画面における設定が,経済産業省の定める意に反する申込みがされる畏れのある画面表示設定例ではなく,申込(契約若しくは注文確定)の直前の画面表示で,消費者が希望した商品の内容,価格,サービス利用方法若しくは商品お届け先を認識しやすく,かつ,申込(契約成立)直前に訂正が容易である画面設定及び表示であった場合。
 事業者が,かかる届出や営業許可を取得し,特約その他の画面表示が消費者に認識しにくい設定ではなかったとすれば,お客様は,法的に請求行為が保護されるべき正当な商品若しくはサービスを購入した可能性が高く,当然に支払い義務が生じている。

営業届出等の例

  1. 無店舗型性風俗特殊営業2号アダルトビデオ等通信販売営業開始届出
  2. 映像送信型性風俗特殊営業インターネット等利用のアダルト画像送信営業届出
  3. 古物商営業許可

等の当該サイトで扱っている商品・サービス提供に必要な法にかかる営業開始届出若しくは営業許可。
 営業許可を受けずに営業していた場合,それぞれの営業にかかる法令により,厳罰(懲役刑,罰金刑)の対象になる。
 

2 消費者が支払わない場合,事業者が売買代金支払い請求訴訟を申立てる管轄裁判所はどこか?

 
(1)事業者側が「いくらを支払え」と請求してくる第一審の,裁判所はどこになるのか?
 
 事業者側は,消費者がしたクリックにより,消費者が利用していたディバイスのIPアドレス,ブラウザ・端末情報,その他のご自身が入力してしまった個人情報も取得していると考えられ,(クッキーの設定を許可してからクリックしてください,等のメッセージが表示され,その後クリックしていれば取得されている。)利用規約又は特約事項若しくは解約事項等に合意していた電子記録を保存していれば,消費者が支払わないことによって,売買代金の支払いを求め,事業者の所在地を管轄する裁判所を第一審の管轄として訴訟に発展する場合がある。
 
(2)事業者の所在地を管轄する裁判所になる可能性
 
 事業者が東京に所在して,消費者が地方に居住している場合に,事業者が消費者に対して売買代金(サービス利用代金)支払い請求訴訟をするのは,東京の裁判所に合意されている事になり,消費者には極めて不利な紛争と言えます。

(利用規約等に,第一審の専属的合意管轄裁判所(裁判をする場合には,法定上の管轄裁判所ではなく,裁判権を特定の裁判所に専属させる。)を事業者の所在地を管轄する裁判所として合意した場合は,当該事業者の裁判所になる。)

 

3 事業者に法令違反があった場合はどうか?

 
(1)契約が有効に成立していたか,いないのか。
 特約表示や注文確定の前後の表示において,消費者が契約事項を認識できない設定であった場合,そもそも契約自体有効に成立していない場合がある。 (特定商取引法が民法に優先する。)
 また,注文内容と著しく異なる商品・サービスが提供され,既に料金を支払っている場合には,お客様が逆に債務不履行に基づき注文した内容の商品・サービスの提供を請求できる。 不当利得に基づく支払済み全額を返金請求するといった措置も考えられる。
 省令,ガイドラインによる規定と雖も,裁判になれば消費者に有利に斟酌されるのは言うまでもない。
 一般論として,アダルトサイトからの請求に関わらず,相手方事業者が海外に所在する場合には,消費者にとってさらなる訴訟上の考察も必要だ。
 いずれにしても,アダルトサイトからの請求行為にかかる合理的な措置を希望される場合には,このような複雑な論点が存在することから,公的な機関に相談される事をお勧めする。
 

4 事業者に法令違反が無い又は無いと同視できる設定であった場合

 
(1)この場合には,契約は有効に成立していて,かつ請求行為は正当な権利の行使であると言える。
既に,20歳以上の方が申込若しくはサービスを利用した場合には,相当の費用を支払う義務が生じる。
成人年齢が20歳からと民法で定められている間は,仮に申込をしたのが20歳未満なのであれば,監護者又は親の取消の意思表示で当該未成年者がした行為は無効にできる可能性もある。