アダルトサイトに対する消費者側の対策について
解決の為の法的根拠を前提に,早期解決に。妥協できるポイントがあるか?
事業者の過失や違法性は,契約自体そもそも無効になる程度なのか?。 消費者に不利な部分が全くないと言えるか,総合的に考えてみましょう。
相手方事業者は,営利目的であることに着目し,自分の弱点も考慮する。いろいろわびさびに配慮すれば,大事になるよりも,穏便に本件問題を終わらせて,もっと大切なことにエネルギーを注ぎたい。これも一つの考え方です。
事業者の違法性をどこまで把握できるか
国際裁判管轄についてみれば,通則法,新民事訴訟法によっても日本での消費者は保護されているし,日本を合意管轄裁判所として係属した場合には,消費者が支払をしたくない法的根拠も日本の法令に準拠して判断されることになり得るから,その支払いをしたくない法的根拠が誇大広告,虚偽説明,詐欺行為等として採用されるものであれば,消費者にとっては費用面,手続き面において有利になると考えられる。
また,仮に当該外国に所在する事業者の支店,出張所,拠点,関連管理会社等が日本にあれば,当該サービスを提供するに上述の営業許可等を取得しているかなどを確認すべきでもある。
事業者に法令違反が無い場合,支払をしたくない法的根拠は希薄になり,請求されている金額以上の金額を支払う必要がないか,いくら支払う義務があるというべきなのか,あるいは一切支払う義務がないというべきなのか,正確かつ迅速に確認して終了したい問題だ。
ただし,では,いくらいくら払って早く終わらせよう,と早合点すのも問題で,振込後,連絡先を知られていることやアダルトな情報を購入したといった負い目の足元を見られて,「あと,5万円足りません」,と言われてはとても忍び難い問題に発展しそうでもある。
消費者に弱点はあるか,
もう一つ考慮すべきは,消費者のどんな個人情報を知っているのか,という点だ。
前述の通り,消費者がしたクリックにより,消費者が利用していたディバイスのIPアドレス,ブラウザ・端末情報,その他ご自身で入力してしまった個人情報も取得していると考えられ,(クッキーの設定を許可してからクリックしてください,等のメッセージが表示され,その後クリックしていれば取得されている。)利用規約又は特約事項若しくは解約事項等に合意していた電子記録を保存していれば,この請求権を根拠に,電気通信事業者へ当該消費者の個人情報の開示を求められたり,そこから得られた情報によりさらに詳細の個人情報を取得されたりする可能性があることは無視できない。
また,法令で勝っても,本当は消費者が懇願して商品を購入し,又はサービスを受けた場合,事業者としても納得のいくものではない。
実社会で予期せぬ恥を晒す事態が無いように対処策を講じる必要があるであろう。
特に消費者が著名人であったり,芸能関係者であったりすれば,プライバシー権の保護は一定の範囲で一般の者よりも制限される。穏便に解決することも必要な時があろう。
契約をした際の画面の設定方法,事業者の営業形態,消費者による商品購入の積極性及びサービスの提供を受けることについて,消費者に不利な条件の提示があったのにこれを承認していた範囲等を総合的に勘案し,費用対効果,社会的損失をも考慮して,公的な機関にご相談されるのが望ましい。