通信販売方法の表示に規制がある
申込(契約)条件等の「販売にかかる表示事項」に法令の規制がある。
原則として,クーリング・オフ制度は適用される。例外として,法令で規定されている「販売にかかる表示事項」が規制通りに表示されている場合,つまり不当性が無い場合に,業者が「クーリング・オフはできません」と表示していれば,その表示通りクーリングオフはできない。
当該販売会社が特約で,「クーリング・オフが可能である」旨を契約条項にとりいれている場合には,その条項通りの返品・交換・返金等又は契約解除が可能。
この「販売にかかる表示事項」には,法令により一定の条件が指定・規制されています。 この一定の条件が満たされている上で,「クーリング・オフや中途解約,その他の返品に関しては認めない」旨が表示されていて,これに消費者が承諾して購入若しくはサービスを受ける申込みをした場合には,原則として,クーリング・オフも中途解約も返品も何もできない事になる。
ただし,その「販売にかかる表示事項」が,購入時若しくは申込時に何もなかった場合又は一定の行政規制条件を満たしていなかった場合には,当該説明を見て購入した日若しくは申し込んだ日(購入のクリックをした日,FAXをした日,申込郵便を発送した日)又は法定書面と看做される書面を受領した日から8日以内にクーリング・オフ(申込の撤回,契約の解除,返品等)が可能。
さらに,理由によっては,8日経過後も可能なり,中途解約も可能になる。
一定の行政規制された表示条件を満たさずに行っている通信販売は行政指導の対象にもなり,行政指導に従わない場合には,一部又は全部の業務停止処分,また,行為によって,百万円以下の罰金,二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金,法人の場合には三億円以下の罰金等の刑事罰の対象と定められている。
返品の条件,申込の撤回や契約解除による返金の条件を確認しよう。
二つの点で他の業務形態でのクーリング・オフとは異なる
事業者による他の営業形態に対するクーリング・オフは,如何なる購入・販売条件と雖も,消費者は無条件で申込の撤回,契約の解除が可能であるのに対し,通信販売の場合には,以下の二点が異なって,一定の条件のもとで消費者にも負担を求めています。
- 通信販売事業者がクーリングオフできると明示していても,原則として,申し込みの撤回又はその契約解除による商品の引き取りや返還に要する費用(いわゆる原状に戻す費用)は消費者の負担としている点が法で定められているという点です。 よって,良く見受けられるのは,「30日以内返品交換可,ただし返品送料はお客様負担,未開封に限る」等の文言です。
- 申込の撤回,解約又は返品ができるかどうか,どのような場合には返品・解約でき,どのような場合にはできないのか,といった特約事項の規定は,契約若しくは申込以前にその旨が規制条件を満たされて表示されている場合に限り,事業者に一任される,という点です。
平成21年12月1日以降の契約においては,通信販売事業者に,返品特約表示(商品と指定権利の売買契約の申し込みの撤回,または解除に関する事項の表示)が義務付けられた。
できるのか,できないのか,できるとすればどんな条件でできるのかをはっきり明示しなさい,という行政規制
ユーザー(消費者)側のパソコンやスマートフォン等の通信端末ディバイス画面において,契約申込の際に,商品若しくは指定権利やサービスの売買契約の申込みの撤回又は売買契約の解除にかかる事項が見やすい箇所に明瞭に判読できるように表示されていること,容易に認識することができるよう表示されていることが必要る。
事業者が,解約・返品を可能として販売若しくはサービスの提供をしていた場合に,消費者が解約・返品の際の手数料,発送料を負担するのかしないのか,いくら負担するのかといった条件も,当該広告や説明欄,利用規約等に明示されている場合で,これに消費者が合意して申込をし,有効に契約が成立した場合には,原則としてその特記事項や特約に従うしかないと言う事になり得ます。
「気に入らなかった場合,効果が無かった場合は,返品・交換・返金いずれかのご要望にも応じます。」とする文句や条項を見受けますが,これは,その販売会社や事業者のサービスの一貫であり,その事業者の営業ポリシーとして,若しくは同業他社への差別化としてのサービス等で,法令では「できるか,できないか」の可否については当該通信販売事業者には強制していないということです。
この表示が無い場合,つまりこの返品特約に関する記載がない場合,または「8日以内であれば契約解除できます。」との条件が明示されている場合には,消費者が商品等を受け取った日から8日以内は,契約解除を行うことが可能です。(※60日間以内とあれば60日間以内に可能。)
その返品特約に,「契約解除等には,一切受付致しません。」との趣旨での記載がなされ,これに合意して購入若しくは契約した場合には,契約解除等上記手続きはできません。(通信販売ではなく,訪問販売や電話勧誘販売等の他の場合には,たとえ「契約解除には一切応じられません。クーリング・オフはできません。返品手数料はお客様負担です。」等と記載されていても,この文言は無効になるという点で制度の適用が異なる。)