日本の経営・管理ビザ

経営・管理

(五年,三年,一年又は四月又は三月)

 
外国人の方が日本で事業を起こし、又は既存の事業の経営・管理に従事する場合、その活動は「経営・管理」の在留資格に該当します。
この場合、申請者が事業の経営又は管理に実質的に参画していること、すなわち 事業の運営に関する重要事項の決定、事業の執行又は監査の業務に従事していること が必要です。
また、「経営・管理」ビザを取得するには、上陸基準省令に規定する事業所の確保(存在)や事業規模の要件を満たすことも求められます。
さらに、更新審査の際には、経営・管理活動を継続できるかどうかも判断され、加えて、事業者としての法令上の義務を適切に履行することも必要です。
(1)事業所の確保について
出入国在留管理局は、上陸基準省令の「経営・管理」の項において、次のように定めています。
「事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること」又は「事業を営むための事業所が本邦に存在すること」
さらに、総務省「日本標準産業分類一般原則」では事業所について次のように規定されています。

  • 経済活動が単一の経営主体のもとにおいて一定の場所(一区画)を占めて行われていること
  • 財貨及びサービスの生産又は提供が、人及び設備を有して継続的に行われていること

この2点を満たす場合、事業所の確保要件を満たすと認められます。
事業所として認められない例

  • 月単位の短期賃貸スペース
  • 容易に処分可能な屋台など

賃貸借契約に関する要件
事業所が賃貸物件の場合、

  • 契約書に「事業用・店舗・事務所」など事業目的が明記されていること
  • 契約者が法人名義であること
    が必要です。

住居兼事務所の場合
ベンチャー企業等では住居の一部を事業所として利用する場合もあります。その場合は以下の条件が必要です。

  • 貸主が事業利用を承諾していること
  • 法人が専有する事業用の部屋を有していること
  • 設備、公共料金の分担方法が明確であること
  • 看板等の社会的標識を掲げていること

インキュベーション施設の場合
JETRO対日投資ビジネスサポートセンター(IBSC)等のインキュベーション施設については、一時的な住所や事業所であっても「事業所の確保」として扱うこととされています。
(2)2名以上の外国人が共同で事業を経営する場合
複数の外国人が共同経営者として活動する場合、それぞれが実質的に経営・管理に参画していることが必要です。

  • 単に役員に就任しているだけでは不十分
  • 事業の規模・業務量・売上等から、複数の経営者が必要である合理的理由があること
  • 各自の業務内容が明確であること
  • 各自に報酬が支払われていること

このような条件を満たした場合に、全員が「経営・管理」として認められます。
(3)事業の継続性について
事業が赤字であっても、将来の継続性が見込まれれば認められる場合があります。
審査は直近2期の決算状況や事業計画、資金調達を含めて総合的に判断されます。

  • 剰余金が残っていれば継続性ありと判断される場合がある
  • 債務超過が1年以上続くと原則として継続性なし
  • 新興企業(設立5年以内)は、資金調達や製品開発状況を考慮し柔軟に判断

(4)事業者としての義務の履行
経営・管理ビザで在留する外国人は、事業運営にあたり次の義務を果たさなければなりません。

  1. 税務:法人税・所得税・住民税などの適切な納付
  2. 労働法令:従業員の労働条件が法令に適合していること
  3. 社会保険:健康保険・厚生年金保険・労働保険への適正加入

これらを怠った場合、不許可や更新拒否につながることがあります。
(5)有償新株予約権による資金調達
払込済資本金が 500万円以上必要ですが、新株予約権による払込金は以下を満たす場合に資本金として算入可能です。

  • 返済義務がないこと
  • 将来、資本金に計上することを契約していること

必要書類には、投資契約書、払込証明資料、誓約書等が含まれます。
事例集(許可・不許可の具体例)
出入国在留管理局は実際の許可・不許可事例を公表しています。
ここではそのままの事例をご案内いたします。
1.「住居」を事業所とする場合の事例

  • 許可事例1:住居契約だが、貸主と「事務所利用」を特約していた許可
  • 許可事例2:役員自宅を本店とし、支店として商工会所有の物件を借りていた許可
  • 許可事例3:住居とは別入口に会社標識と事務設備を整えていた許可
  • 不許可事例1:居宅のみで標識・設備がなく、日用品しかなかった不許可
  • 不許可事例2:賃貸契約が住居名義で、設備や標識もなかった不許可
  • 不許可事例3:事務所が従業員名義、貸主の同意なし不許可

2.複数の外国人による共同経営の事例

  • 許可事例1Aが海外取引、Bが品質管理・経理を担当両者とも許可
  • 許可事例2CDが地域ごとに運送事業を分担両者とも許可
  • 許可事例3EFが資本金を分担し、CEOCMOとして役割分担両者とも許可

3.直近期決算が赤字だった場合の事例

  • 許可事例:第1期決算が赤字でも債務超過でなく、継続可能と認められた
  • 不許可事例:売上総利益がマイナスで、欠損金が資本金の2倍不許可

まとめ
このように、出入国在留管理局のガイドラインは非常に細かく、オフィスの実態・経営参加の実態・財務内容・法令遵守状況を厳しく確認します。
単なる形式的な会社設立だけでは許可されず、実質的な事業運営が必要です。