風営法の適用を受ける施設又は私的会場で,外国人芸能人,ダンサー,歌手等が興行の活動をする場合の許可基準要件
「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」という。)第二条第一項第一号(キャバレーその他設備を設けてお客さんにダンスをさせ,かつ客の接待をして客に飲食させる営業)又は第二号に規定する営業(待合,料理店,カフェーその他設備を設けてお客さんの接待をしてお客さんに遊興又は飲食をさせる営業を営む施設において,演劇(演技する)・演芸(芸をする)・歌謡(歌う)・舞踊(踊る)・演奏(楽器を弾く)活動をする場合の許可基準要件です。
一 申請人が演劇、演芸、歌謡、舞踊又は演奏(以下「演劇等」という。)の興行に係る活動に従事しようとする場合は、次のいずれにも該当していること。
(ただし,,「主催者」が,特殊法人である場合や,外国との文化交流を目的に国又は地方公共団体等の公的機関から資金援助を受けて設立された機関である場合は緩和されます。)
イ 申請人が従事しようとする活動について次のいずれかに該当していること。ただし,当該興行を行うことにより得られる報酬の額(団体で行う興行の場合にあっては当該団体が受ける総額)が一日につき五百万円以上である場合は,この限りでない。
(1) 外国の教育機関において当該活動に係る科目を二年以上の期間専攻したこと。
(2) 二年以上の外国における経験を有すること。
いずれも,外国人芸能人としての資質が問われています。
「外国の教育機関」とは,義務教育終了後の機関で,例えば・・・ 「有名ダンサーに師事し,2年経った」・・というのは該当しませんで,あくまで,公的教育機関であることが必須です。
経験とは,「職業として,プロとしての芸能人のキャリア」なります。
例えば,そのダンスチームに,又はバンドメンバーに,一日につき,出演料の名目等で500万円以上支払う場合は,この外国人芸能人の資質・能力は原則許可基準を緩和され,問わないことになります。
ビックアーティストでなければ支払わないギャラではありますので,500万円/日の報酬を支払ってまで,私的会場において公演をして売り出したい外国人タレントであるという場合には有効な手続きの一つになり得ます。
社団法人韓国演芸人国外送出協議会発行済みの証明書,TECDAのACC,POEAのACC及びARB,は一定の評価を受けます。(審査に積極的な要素としてプラス評価を受けます。)
ロ 申請人が次のいずれにも該当する本邦の機関との契約(当該機関が申請人に対して月額二十万円以上の報酬を支払う義務を負うことが明示されているものに限る。以下この号において「興行契約」という。)に基づいて演劇等の興行に係る活動に従事しようとするものであること。
※本邦の招聘機関等と,出演者たる外国人個人若しくはグループとの興行契約が必須になります。
(1) 外国人の興行に係る業務について通算して三年以上の経験を有する経営者又は管理者がいること。
(2) 五名以上の職員を常勤で雇用していること。
(3) 当該機関の経営者又は常勤の職員が次のいずれにも該当しないこと。
- 人身取引等を行い,唆し,又はこれを助けた者
- 過去五年間に出入国及び難民認定法(以下,「法」と申します。)第二十四条第三号の四イからハまでに掲げるいずれかの行為を行い,唆し,又はこれを助けた者
- 過去五年間に当該機関の事業活動に関し,外国人に不正に法第三章第一節若しくは第二節の規定による証明書の交付,上陸許可の証印(法第九条第四項の規定による記録を含む。以下同じ。)若しくは許可,同章第四節の規定による上陸の許可又は法第四章第一節,第二節若しくは法第五章第三節の規定による許可を受けさせる目的で,文書若しくは図画を偽造し,若しくは変造し,虚偽の文書若しくは図画を作成し,若しくは偽造若しくは変造された文書若しくは図画若しくは虚偽の文書若しくは図画を行使し,所持し,若しくは提供し,又はこれらの行為を唆し,若しくはこれを助けた者
- 法第七十四条から第七十四条の八までの罪又は売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第六条から第十三条までの罪により刑に処せられ,その執行を終わり,又は執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員(以下「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者
招聘機関への要件なります。外国人の興行に係る業務について,通算して三年以上の経験のある,その機関の取締役や,ヘッドハンティングして役員にするか,招聘手続きにつき条件を満たす機関と契約することにより手続きをする他ない。
(4)過去三年間に締結した興行契約に基づいて興行の在留資格をもって在留する外国人に対して支払義務を負う報酬の全額を支払っていること。
諸事情により,これから支払うことになっても可。
ハ 申請に係る演劇等が行われる「施設」が次に掲げるいずれの要件にも適合すること。ただし,興行に係る活動に従事する興行の在留資格をもって在留する者が当該施設において申請人以外にいない場合は,(6)に適合すること。
(1) 不特定かつ多数の客を対象として外国人の興行を行う施設であること。
「不特定かつ多数」の意味が曖昧ではあるが,クローズドの会員制は本要件に適合しない。 百貨店,マーケットストア,VISA・JCB・Nicos・UC等のカード会社が会員・優待客,お得意先,取引先等を対象に行う場合,会社のレクリエーションとして社員・家族に行う場合,ホテル・旅館が宿泊客を対象に行う場合には,適合する。
(2) 風営法第二条第一項第一号又は第二号に規定する営業を営む施設である場合は,次に掲げるいずれの要件にも適合していること。
(i) 専ら客の接待(風営法第二条第三項に規定する接待をいう。以下同じ。)に従事する従業員が五名以上いること。
ホテル・旅館・宴会場では,不要となります。
風俗営業許可を取得していなくても,業務として日常的にお客様に対し,社交上歓楽的雰囲気を醸し出すよう,飲食を共にし,はべり,歌い,といった接待を実質的にしているか,していないか,この実態によって五名以上が必要か否かが判断されます。
風営許可が必要だけれども取得していない場合は,風営許可を先に取得する必要があります。
キャッシャー,黒服,案内係り等は,この五名にカウントされません。
この規定の五名以上とは,「従業員として人財を確保されている。」ことが求められております。
(ii) 興行に係る活動に従事する興行の在留資格をもって在留する者が客の接待に従事するおそれがないと認められること。
花束をもらう,握手する,挨拶するといった社交儀礼は接待に含まれませんが,席についてたばこに火をつけたり談笑を積極的にしたり,カラオケを積極的にデュエットすることは,接待に該当いたします。
上述を踏まえ,接待に従事するおそれがないと認められるに足りる説明・疎明資料が必要になります。
(3) 十三平方メートル以上の舞台があること。
(4) 九平方メートル(出演者が五名を超える場合は,九平方メートルに五名を超える人数の一名につき一・六平方メートルを加えた面積)以上の出演者用の控室があること。
足りない場合には増設して,管轄の警察署への風営法上の構造変更届も必要になります。
(5) 当該施設の従業員の数が五名以上であること。
原則として,営業時間中に常時5名以上勤務していることを要求しています。
(6) 当該施設を運営する機関の経営者又は当該施設に係る業務に従事する常勤の職員が次のいずれにも「該当しない」こと。
- 人身取引等を行い,唆し,又はこれを助けた者
- 過去五年間に法第二十四条第三号の四 イからハまでに掲げるいずれかの行為を行い,唆し,又はこれを助けた者
- 過去五年間に当該機関の事業活動に関し,外国人に不正に法第三章第一節 若しくは第二節 の規定による証明書の交付,上陸許可の証印若しくは許可,同章第四節 の規定による上陸の許可又は法第四章第一節 ,第二節若しくは法第五章第三節 の規定による許可を受けさせる目的で,文書若しくは図画を偽造し,若しくは変造し,虚偽の文書若しくは図画を作成し,若しくは偽造若しくは変造された文書若しくは図画若しくは虚偽の文書若しくは図画を行使し,所持し,若しくは提供し,又はこれらの行為を唆し,若しくはこれを助けた者
- 法第七十四条 から第七十四条の八 までの罪又は売春防止法第六条 から第十三条 までの罪により刑に処せられ,その執行を終わり,又は執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
- 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者